ノゾムモノ。〜ちぇりーぶろっさむ〜2章

・・・登場人物・・・
木凪 有(きなぎ たもつ)
主人公。特に将来の夢もこれと言った希望も無い普通の高校生。落ち着いておとなしい性格ではあるが自分の意見はハッキリと主張する。

桜観 風花(おうみ ふうか)
ヒロイン。どこにでもいる純情乙女。容姿○性格○の生徒のアイドル的存在。有の事を知っていたようだが何か関係が…?

木見野 幼染菜(きみの よしな)
主人公の幼馴染。やたら元気な人。どこにでも一人は居る、取り合えず一番前に立つ先導力や統率力に優れた子。主人公の相談にもちょくちょくのってるらしい。

神崎 伶(かんざき れい)
脇役。変な喋りで友達付き合いが良い。でも名はあるけど呼ばれない、とりあえずムードメーカー的に一人は居る。そんな感じの不憫な役柄の人。

ナレ
読んで字のごとく。ナレーション




 君と過ごすあの日。

   君の名を始めて呼んだあの日。

    後に僕を後悔させる事となった―――あの日。


ナレ 春も過ぎ、夏を僅かに感じさせる5月―――。

風花 ん、有くんなにやってるのー?

 とりあえず進学先でも探そうと思ってな。で資料集めたはいいんだけど…

風花 どう手をつけたらわからない、かなー?

 …ご名答。

風花 受験生って大変なんだねー、私も頑張らなくっちゃー♪

 俺高校受験もこんな感じだった気がするな…姫はどうだったんだ?

風花 え?

 ん?いや、高校受験。どんな高校に入るのか悩んだりしただろ?

風花 ぁぅ…ぇと…、うん!いっぱい勉強したんだよー♪

 ?まぁ今の成績は俺と大して変わらないけどな…。

風花 ぅー…ひどいよー…

幼染菜 でも前のテストは風ちゃんの方が順位上だったよねっ♪

 ぐっ…

風花 ぁ、そっかぁ♪えへへー、有くんもまだまだだねっ♪

 …たかが3点差だ。

 甘いな有。
   実力主義のこの世の中、姫とお前
   選ばれるとしたら僅かな数字であろうと劣るお前と僅差で上を
   いや全てにおいてお前より上を行く姫ならば姫を採るに決まっているっ!
   いや、姫を採らない奴は俺が許さない
   お前の存在を消してでも姫を採らせてみせるっ!

風花 わ〜♪

 …。

幼染菜 大丈夫だよ有ー、最後に笑えばいいんだからっ♪

風花 そうだよー、私に負けないようがんばれー♪

 まぁ…前を向いて生きるか…。

 まぁそれが無難だな。で、みんなこのまま帰るのか?

 どうするかな…

幼染菜 ぁ、私は部活行かなきゃ行けないからっ。来週引退試合入ってるのだっ!

風花 幼染菜ちゃんなぎなた部だったねぇー♪

 おぉ、もうそんな時期か。引退試合の後ってどうするんだ?そのまま退部?

幼染菜 いやいやっ
      私は先生に腕を買われてるから
      引退試合後も後輩たちの稽古をつけないといけないのだよー♪

 大変だな。進学活動は大丈夫なのか?

幼染菜 あははっ、文武両道。その辺は抜かりないよっ。
      と、そろそろ行って来るのだっ!

 おぅ、がんばれー

風花 また明日ー♪

 じゃ、俺もそろそろ帰るかな。

幼染菜 途中まで一緒にいこっか。有ー、風ちゃんーまた明日ー♪

 …と、教室俺達しかいなかったのか。

風花 今は二人っきりだねー。

 そうだな…

風花 んー?もしかして変な事考えてるのかなー?

 ぁ?なんだよそれ。

風花 あーんなことやこーんなことー♪

 はぁ…言ってろ。

風花 …。

 何だよ。何か言いたい事でもあるのか?

風花 ぁ…うん。二人っきりでお話しするのってこれが初めてだな、と思って…

 最初に会った時だって二人だっただろ?

風花 でもその時はこんな風にゆっくりとじゃ…なかったもん

 まぁ急いでたからな。初対面だったし。

風花 うん…初めて…会ったんだよね。

 俺しか知らない奴いなかったみたいだけどな。今となってはいい話友達だけどな

風花 …うん。

 …ん?

風花 …ぁ。

 どうした?

風花 あれ…何…?

 っ…避けろっ!!

ナレ 窓の向こうから飛んでくる何かを避けるため、有は風花を庇う様にして倒れた

 うぁっ…。

風花 あぅ…有くん、有くん…?

 大丈夫か?風花…。

風花 ぇ…?

 大丈夫か…?

風花 …。

 どうした…?

風花 有くん…初めて私の名前呼んでくれた…

 …なんで今そんな事

風花 だって…初めて…呼んでくれたんだもん。

 (俺、風花の事名前で呼んだ事…なかったのか。)

風花 ぅ…っ、ぇぅ…っ。

 お、おぃ、何で泣いてんだよ

風花 らってぇ…ぐす、好きな男の子に…ぐす、…初めて呼んでもらったんらよぉ…

 なっ…!

風花 ぐすっ…、どうしたの?

 い、今お前俺の事をす、好きって…

風花 …ふぇ?嘘?

 …。

風花 にゃ…

 にゃ?

風花 何言ってんのよぅ、私の馬鹿ぁー!!!

 …!!

風花 ゎー、ゎー…。
    ほんとに言っちゃったのかなぁ…それとも有くんが嘘ついたのかなっ。
    でもでもでもでも、私有くんのことずっと大好きだったし…て、きゃー!

 あのー…姫さまー…?

風花 よし、決めたっ!

 ?

風花 有くん、私と…付き合ってくださいっ!

 なっ…!!

風花 (むー…っ)

 …俺で…よければ。

風花 やったぁー♪苦節7年、やっと有くんのハートをげっと出来ましたーっ♪

 …へ?

風花 わーいっ♪

 わっ…抱きつくなっ…

風花 えへへー…♪

 (なんで…こうなるんだろう…。)

 この時…俺がOKしなければ彼女が悲しむ事も―――無かったかもしれない。


とぅーびーこんてぃにゅー☆