桜観 風花(おうみ ふうか)
ヒロイン。どこにでもいる純情乙女。容姿○性格○の生徒のアイドル的存在。有の事を知っていたようだが何か関係が…?
木見野 幼染菜(きみの よしな)
主人公の幼馴染。やたら元気な人。どこにでも一人は居る、取り合えず一番前に立つ先導力や統率力に優れた子。主人公の相談にもちょくちょくのってるらしい。
神崎 伶(かんざき れい)
脇役。変な喋りで友達付き合いが良い。でも名はあるけど呼ばれない、とりあえずムードメーカー的に一人は居る。そんな感じの不憫な役柄の人。
ナレ
読んで字のごとく。ナレーション
俺の中で芽生えた、彼女へのかけがえのない想い。
もう交わされることのない―――――俺と彼女の想い。
ナレ 有の前から風花が消え、時は経ち―――高校生活に終わりを告げる、三月。
有 …。
幼染菜 ゆーくん凄いねっ!大学スゲェ良いトコ行けたじゃん♪
有 あぁ…。
伶 どうしたんだ?夏からずっとその調子…卒業のときぐらい笑おうぜ。
有 …ごめん。
幼染菜 なに謝ってんのさっ。
私達祝福するみたいにこんなに桜も綺麗なんだしさっ!ほら、すまいるー♪
有 …一人にしてくれないか。
幼染菜 …有さ、何か悩んでるなら相談しようよ…。
私幼馴染だし…伶だって友達だよ。有がそんなだと…私も寂しいよ…。
有 ―――お前らに何がわかる?
幼染菜 え?
有 8月何をしたか言ってみろ、誰と…海に行ったか言ってみろっ!
伶 …俺とお前と幼染菜さんの三人だろ。
幼染菜 有…?
有 …くそっ!
ナレ 有は二人を突き飛ばし、走って行った
有 (畜生…、何で誰も風花の事…覚えてねぇんだよ…っ)
ナレ 有はあの日風花と出会った、校庭の桜の下に来ていた
有 なぁ風花…あの時みたいにさ、桜の花びらの中から出てきて俺を驚かせてくれよ…。
最後お前言ったよな、もう思い残すことは無い―――って。
でも、俺も思い残すことが無いわけじゃないだろ…
まだ―――お前と二人っきりでデートもしてないし、好きだって言葉すら…
言ってねぇんだぞっ!
ナレ 有は桜の幹に思い切り拳を叩き付けた。
風花 (…ごめんなさい。)
有 ぇ?
風花 …久しぶり、有くん。
有 風花っ!!
風花 来ちゃ駄目っ!!!
有 …!?
風花 今触られると、もう…崩れちゃうから…。
有 風花…お前は何、なんだ?
風花 この桜の木…って言えばいいかな。
でね、最後にその桜の木のお話を聞いて欲しいの。
有 …。
風花 その桜の木は人間が大好きなの。
七年前のある日、その桜は人間のように遊んでみたくて公園に出かけてみた。
でも転んじゃって、泣いてたの。
その姿を見て、声を掛けてくれた、優しい男の子がいたの。
その男の子は初めて会う女の子と日が暮れるまで一緒に遊んで、そして別れた。
この女の子は遊ぶ事が出来てとても満足だった。
でもこの物語はここでは終わらなかった。
今から三年前…その男の子とまた会うことが出来た。
でもまた会うのは恥ずかしい、相手も自分の事なんて忘れている…
二年間悩んで、三年目、ついにまたその男の子に会う決心がついた、
でもそれは同時にその桜にとっても最後の時だった。
その桜の木は次に花を咲かせたらもう枯れてしまうから…。
有 風花―――。
風花 それでも、その男の子が大好きだから。
自分に優しさを教えてくれたその人にお礼も言いたかったから。
その身を削いで男の子と一緒に少しの間、過ごしました。
でもそれは夏まで…、唐突に別れを告げる事になったの。
そして今…最後の刻を男の子の為に、使っています。
はい、物語はここでおしまい。
有 …あとどれくらいなんだ。
風花 …5分、かな。あとは桜の花びらが散っていって、それでこの木の役目は終わり。
有 最後なのか。
風花 …うん。
有 言っておかなくちゃいけないことがある、聞いてくれるか?
風花 …うん。
有 ずっと言えないでいたけど…
風花、愛してる。出会ってから数ヶ月だったけど
お前は俺にとってかけがえの無い存在になってた。
俺なんかのために…ありがとう。
風花 私の方こそ…ありがとうございました。
有 ごめんな…デートにも連れてってやれないで…。
風花 んーん。私の方こそ彼女っぽい事してあげられなくてごめんね…。
有 …。
風花 そろそろ、時間みたい。
有 どうにも…ならないのか
風花 ごめん…
有 俺は…お前の事絶対に忘れないからな。
風花 有くん…私も、ずっと、ずっと―――――
有 …風花?
風花(…ばいばい)
有 風花ッ!!!!!!
―――――Fin.