『天女の歌声』
結城 武揚(ゆうき たけあき)(17)♂:すべての女の子たちのために自分はいるのだと思い込むナルシストw
スポーツは万能だが勉学の方はいまいち…;
桜海 鈴音(おうみ すずね)(16)♀:口数少ない日本人形な子。ボーとしていることが多。
来栖 七海(くるす ななみ)(18)♂♀:男だが、女の子の容姿を持つ学園のアイドル的存在。
唯一の欠点はいたずら好きのSだということ…;
ナレ ♂♀
※鈴音はセリフが少ないため、ナレとの被りできます。
ナレ:これは日ヶ久保(ひがくぼ)高校で少ーし有名になった人たちの、出会いの一節である。
珍しく雪が少し降り積もっている。物語の舞台となる日ヶ久保(ひがくぼ)高校は只今冬休み中
そんな静かなはずの高校に、補習で呼び出された武揚がいた。
武揚:なんで俺だけがこんな、ホシュウなんてもん受けなきゃならねぇんだよ。
ナレ:それはあなたの成績が悪いから・・・なんて言葉は置いといてw
今日の分の補習を終えた武揚(たけあき)は気晴らしにバスケをしようと体育館へと向かった。
体育館へと続く渡り廊下を歩いていると、裏庭からきれいな歌が聞こえてきた。
鈴音:ら〜ららら〜♪(しばらく歌ってください。天女の歌声をイメージしてアドリブで)
武揚:ん?誰だ?
ナレ:そこには天女のような黒髪の少女がいた。
武揚:お、おい・・・
鈴音:っ!!
ナレ:少女は武揚(たけあき)に気づくと逃げるように去っていった。
武揚:・・・・・・な、なんだよぉ・・・
ナレ:そして翌々日・・・
武揚:あー久しぶりに楽しかったぁ♪
ナレ:バスケ部の練習乱入に飽きた武揚(たけあき)は今帰るところだった。
オレンジ色の夕日が校舎を照らしている。
鈴音:ら〜ららら〜♪(前回同様アドリブで・・・)
武揚:あっ!この歌はっ!
ナレ:渡り廊下まで聞こえてくる美しい歌声。
それを聞きた武揚(たけあき)は急いで裏庭に行ったが、黒髪の少女はまたも逃げるように去っていった。
武揚:ちっ。またかよ・・・
ナレ:そんなことが幾度か繰り返された、ある日・・・
鈴音:!!
武揚:よっ。あ、ちょい待ち!逃げるなよ!
鈴音:・・・・・・
ナレ:武揚(タケアキ)は少女が現れるより先に裏庭にいた。
武揚:ちょっと、話をしようや。あ、ここ座りぃ。
鈴音:・・・・・・
ナレ:少女はコクリと頷き武揚(たけあき)の隣に座った。武揚は少女の名前が「鈴音」だということを聞き出した。
武揚:そうか・・・鈴音ちゃんはここの生徒じゃないんだな?
鈴音:・・・・・・(コクリ)
武揚:・・・ふ〜ん・・・ま、いいや、そんなことは。それより歌うまいよな。一瞬天女か天使かと思ったぜw
鈴音:・・・・・・ありがと(ポツリ)
武揚:良かったら、聞かせてくれないか?
鈴音:・・・・・・
武揚:あ、ダメならいいよ。
鈴音:(フルフル)
武揚:よかったぁ
ナレ:にこっと微笑み、しばらくの後、天女のような歌声が裏庭に降り
そそいだ。
雪がしっとりと降りゆく中そこだけが、まるで春が来たかのように暖かくなった。
武揚:なんかさぁ・・・俺・・・鈴音ちゃんのこと気に入った。
鈴音:えっ?
ナレ:突然の発言に鈴音は歌を止め、驚きの表情を見せた。
武揚:うん。俺、鈴音ちゃんのこと好きだ。つきあってくれないか?
鈴音:えっ・・・あっ・・・あの・・・・・・(カーッ)
ナレ:鈴音はその場の雰囲気に耐えられず、顔を真っ赤にして走り去った。
武揚:あっ・・・あ〜あ・・・嫌われたかなぁ・・・
ナレ:冬休みも終わり、二人はそれ以来会うことはなかった。春までは・・・
七海:おっ、悩める少年発見w
武揚:うぉ。七海(ななみ)先輩っ。
七海:なになに?どうしたどうした?
武揚:先輩、顔・・・不気味な笑顔になってます;
七海:ムッ。なってないよー。・・・あっ、そうだ!
武揚:!!
七海:新しい1年の中に可愛い子いるんだよぉ。それがねぇ・・・って
ちょっと聞いてるのぉ?
武揚:先輩。俺さま、その子もう見つけてるから〜♪
七海:あっ、やっぱり?(ニヤリ)
ナレ:窓の外に愛しの天女の姿を見つけ走り出した武揚(たけあき)は、七海(ななみ)の怪しい笑いに、まったく気づいていないのであった。
この話はここで終わりだが、彼らの物語はまだまだ続く。
それはまたの機会ということで・・・
終わり